(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年7月12日付)

ニューヨークの国連で会談するボリス・ジョンソン首相とドナルド・トランプ大統領(肩書きは当時、2019年9月24日、写真:AP/アフロ)

「Britain Trump」というのは、米国前大統領のドナルド・トランプが英首相を退任するボリス・ジョンソンに張りつけた言葉拙いレッテルだった。

 英国では、多くの人がずっと、ジョンソンとトランプのこの対比に抵抗した。

 何しろ、親しみがある「dear old Boris」は自分自身を笑い飛ばすことができ、古典の教養があり、流暢に文章を書くことができる。すべてがトランプとは全く異なる要素だ。

トランプとジョンソンの比較はフェアか

 筆者は近著『The Age of the Strongman』の執筆中に、この比較と奮闘した。

 トランプと並べ、ましてやロシアのウラジーミル・プーチンや中国の習近平と並べて、ジョンソンに関する章を設けるのは本当にフェアだろうか――。

 ジョンソンが権力の座にしがみつこうとした光景によって、筆者の疑念は解消した。かつては無理があるように思えた比較が、今では当たり前になった。

 トランプ、ジョンソン双方を知る英国人評論家のアンドリュー・ニールは「私は常にボリス・ジョンソンとドナルド・トランプの比較に抗ってきたが、もう違う」と書いた。

 ニールが指摘したように、ジョンソンは「トランプ氏のように、規則は自分には当てはまらないかのように振る舞った」。

 元英最高裁判事のジョナサン・サンプションは、大統領流の負託を主張したジョンソンの行為は「憲政クーデター未遂」だったと非難した。

 ジョンソンもトランプも、不都合な真実が無視されるか、「フェイクニュース」として片付けられるオルタナティブ・ファクツの世界に住んでいる。

 どちらもとんでもないエゴイストで、自分の利益のために制度を蔑ろにすることを厭わない。