(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年6月28日付)

ロシアによるウクライナ侵略で高騰している石油やガス価格は短期的にロシアに追い風だが、そう遠くない日に向かい風に変わる

 1970年代の石油ショックは西側諸国の政治家に、世界のエネルギー超大国の力に関する悲痛な教訓を与えた。

 50年経った今、この教訓が一から学び直されている。

 ロシアは欧州へのガス供給を制限することで、西側諸国の制裁に対して反撃に出ている。

 ロシア産ガスの供給が完全に止まる見通しは欧州でパニックに近い不安を招き、ドイツなどの経済大国が今冬のエネルギー制限を検討している。

 一方、中間選挙に先駆けてガソリン価格の急騰を心配しているジョー・バイデン米大統領は、サウジアラビアを国際社会ののけ者として扱うという選挙戦のレトリックを忘れることを余儀なくされた。

 大統領は7月半ば、石油を増産するよう訴えるためにサウジの首都リヤドへ向かう。

70年代の石油ショックと同じ教訓

 教訓は単純で、気が滅入るように思える。2022年には1973年と同様、世界の主要産油国がまだ世界最大級の政治大国を思うままに踊らせることができるのだ。

 だが、足元のニュースの先へ目を向けると、エネルギーの地政学ははるかに複雑だ。

 ロシアは短期的に強い切り札を持っているが、その立場は今後3年間で劇的に悪化する。米国は短期的に大きな問題を抱えているが、長期的には強い立場にある。

 最も大きな短期的、中期的問題を抱えているのは欧州連合(EU)だ。