(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年7月1日付)

2021年1月6日の米議会乱入事件は米国の民主主義に大きな問題を提起した(写真:ロイター/アフロ)

 米国の企業経営者には民主主義を守る覚悟ができているのだろうか。

 先日行われた世論調査の結果を見る限り、その答えは完全な――そして心強い――「イエス」だと思われるかもしれない。

 ワシントンのロビイング団体ビジネス・アンド・デモクラシー・イニシアチブが5月に公表した調査結果を例にとろう。

 この調査では、企業経営者の96%が「良好に機能している民主主義は力強い経済にとって重要である」と考えており、81%は「企業は安全かつ公正な選挙が行われるように行動するべきだ」との見解に同意している。

 それ以上に衝撃的なのは、「民主主義への脅威について企業は声を上げるべきだ」との見方に77%の経営者が賛同していることだ。

 しかもその77%のうち、民主主義への支持と選挙への参加を自社社員に促す可能性が5年前より高まっていると答えた経営者が過半数を占めている。

 一方、以前ほど熱心ではなくなったとする経営者は8%にとどまった。

高まる不確実性と強い不安

 だが、こうした発言を実行に移す方法について経営者たちに内々に質問すると、様子は一変し、高まる不確実性と強い不安が顔をのぞかせる。

 確かに、ドナルド・トランプ前大統領が2020年の大統領選挙の結果を覆そうとしたことについて6月末に暴露された話は、民主主義の存在に関わる脅威を際立たせており、経営者たちもそれには気づいている。

 米モンマス大学の世論調査で示されているように、あの選挙では不正が行われたと一般国民の3分の1が考えており、同じくらいの割合の国民が「米国の(選挙)制度は根本からぐらついている」と考えていることを経営者は承知している。

 特定の政党や候補者が有利になるように選挙区の区割りを変える「ゲリマンダリング」や、あれこれ障壁を設けて少数派に投票させないことを目指す「投票抑圧」に対する懸念も強まっている。