米下院特別委員会で証言するキャサディ・ハッチンソン氏(6月28日、写真:ロイター/アフロ)

ウォーターゲート事件彷彿させる25歳才媛

 2021年1月に起きた米連邦議会襲撃事件を調査する下院特別委員会(バーニー・トンプソン委員長、リズ・チェイニー副委員長)の6回目の公聴会で、原爆なみの爆弾発言が飛び出した。

 当時、大統領首席補佐官だったマーク・メドウズ氏(前下院議員、元共和党下院保守派「フリーダム・コーカス会長」)の女性次席補佐官(5人いる次席補佐官の一人*1)、キャサディ・ハッチンソン氏(25)が行った宣誓証言だ。

*1=当時のホワイトハウス人事録によると、ハッチンソン氏は次席補佐官5人の最下位に名前を連ねている。

 その中身がワシントン政界を震撼させた。

 これが事実ならドナルド・トランプ前大統領は米議会襲撃の「教唆犯」(あるいはそれ以上の罪状で)として訴追される可能性が出てきた。

 その証言の内容は、こうだ。

一、トランプ氏が事件直前、自ら議会に向かおう(つまり議会襲撃に加わろう)としてシークレットサービスに反対されて激高し、大統領専用車のハンドルを自ら握ろうとして警護担当者ともみ合いになった。

(ハッチンソン氏は、この模様を同僚のトニー・オルナト氏、そしてトランプ氏ともみあいになった警備担当のロバート・エンゲル氏から直接聞き、メモしていた)

(詳細な証言から録音していた可能性大だ。万一、トランプ氏が議会に行っていたら、どのような事態になっていただろうか)

(任期切れ寸前の現職大統領が武装勢力に守られて立法府の建物に侵入・占拠する。想像しただけで恐ろしい)

二、トランプ氏は、事件発生前、ホワイトハウス近くのジ・エリプス(大統領公園内の楕円の芝生エリア)で支持者向けに選挙結果が間違っていると訴える演説をしようとした。

 しかし、会場が聴衆で埋まっていないのに腹を立て、警護担当者らが銃を持っている支持者を会場に入れないようにしていたことについて口汚くこう述べていた。

「奴らが銃を持っていようがいまいが、俺は気にはしない」(I don’t fucking care that they have weapons.)

「奴らは俺に危害を加えようとしているわけではない」(They’re not here to hurt me.)

「柵を外して俺のピープルを会場に入れろ」(Take the fucking mags away. Let my people in.)

「奴らはここから議事堂に向けて行進するのだ」((They can march to the Capitol from here)

(トランプ氏はこの時点で過激派団体「プラウド・ボーイズ」らが重武装していることを認識していたことが分かる)