米最高裁判事のサミュエル・アリート氏の自宅前をデモ行進する中絶賛成派の人々。自宅前には多数の警官が警備に当たっている(6月27日、写真:ロイター/アフロ)

「時代錯誤の判決」とアカデミー賞女優たち

 米国の最高裁で多数派の保守派判事により「人工妊娠中絶は違憲」とした判決の余波が広がっている。

 リベラル派の牙城、ハリウッドやスポーツ界にも波及、“女性一揆”の狼煙が立ち昇っている。

 その怒りは、今や大空前のブームを巻き起こしている「トップガン:マーヴェリック」でハリウッドを席巻しているパラマウント、そして主演トム・クルーズを突き動かしている。

 パラマウントは(ディズニー、ソニー、ネットフリックスなどとともに)社員および配偶者に対する中絶手術支援策に踏み切った。

 俳優やプロデューサーらで構成される各労組もこの対策を側面支援する方針を決めた。

https://www.latimes.com/entertainment-arts/business/story/2022-06-24/hollywood-companies-pay-travel-costs-for-abortion-care

 トム・クルーズは、「興行上、口にこそ出さないが、これまで主張してきた中絶合法*1を貫いている」(ハリウッド業界誌のベテラン記者)とされる。

*1=トム・クルーズが事実上のナンバー2になっている「サイエントロジー教会」は、公式スタンスは「中絶違憲」だが、開祖L・ロン・ハバード師は「中絶合憲」論者。出産や子育ては「布教活動」の妨げになるとして中絶を強制すらしていた。

https://www.catholic.org/news/national/story.php?id=34810

https://www.thesun.co.uk/news/15533942/scientology-church-scandals/