大企業はリストラを通して人をどんどん入れ替えている(提供:アフロ)

「あれ、こんなところでおじさんが働いてる……」

 近年、非正規労働の現場で、しばしば「おじさん」を見かける。しかも、いわゆるホワイトカラーの会社員が、派遣やアルバイトをしているケースが目につくようになった。

 45歳定年制、ジョブ型雇用、そしてコロナ──。中高年男性を取り巻く雇用状況が厳しさを増す中、副業を始めるおじさんたちの、逞しくもどこか悲壮感の漂う姿をリポートする。

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(若月 澪子:フリーライター)

無慈悲なリストラを描く「鎌倉殿の13人」

 放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は中盤に入り、源頼朝が死んだ。ドラマではこれまで、頼朝が自身の権力を盤石にするために、家臣や血縁者を粛清する様子が描かれてきた。頼朝亡き後は、主人公の北条義時が源氏の家臣を次々と滅ぼしていく、血みどろの権力闘争が加速していくことになるだろう。

 この「人間を切り捨てる」という無慈悲な場景は、現代の日本企業にはびこるリストラ劇とも重なる。

 終身雇用が崩壊しつつある一方、国は企業に対して65~70歳まで雇用を延長するように求めている。企業は人を減らしたいのに、長期雇用で人件費がかさんではたまらない。そこで、困った大企業が乱用しているのが、40歳以上の中高年のリストラである。

「昔は人がいっぱいいたのに、今はどんどん首切りやってるよね」と話すのは、大手ITベンダーに勤務する営業マンのKさん(50代後半)だ。

 勤続30年を超えるKさんは、ヨーロッパやアジアに数年ずつ赴任した経験があり、海外ビジネスを手掛けてきた営業のベテランだ。Kさんは本部長級まで出世したが、55歳で役職定年となり、肩書きを外されてヒラになった。

 ところが幸か不幸か、Kさんがヒラに落とされた数カ月後に、会社がジョブ型雇用を採用することになったのである。