米政府高官らは、ロシア大統領のウラジーミル・プーチンがウクライナでの屈辱的敗北を、その種の存続にかかわる脅威と見なす可能性があると考えている。
その場合、矛盾した状況が生まれる。ウクライナが戦場で健闘すればするほど、事態がますます危険になるのだ。
こうした懸念が米国の政策に慎重な姿勢をもたらしている。
米政府がウクライナに供与する新型ロケット砲の射程を制限することを決めたのも、このためだ。
米国人は、米国による直接攻撃に見えることを危惧し、ロシア領を優に攻撃できるロケット砲を送らないことにした(一方で、ドイツからの大型兵器は引き渡しが遅れている)。
危険なのはどっちだ
こうした状況すべてが、最大の危険はロシアの敗北ではなくロシアの帝国主義だと考える西側の同盟内の関係者にとって大きな不満の種になっている。
彼らは、プーチンがピョートル1世の後継者を自認し、自分はロシアの領土を取り返し、拡大していると言った最近の発言を引き合いに出す。
この学派は、プーチンが核兵器を使うという考えを退け、ロシア大統領は常に強い自己防衛本能を示してきたと主張する。
そしてロシア帝国主義の脅威についに終止符を打つ唯一の方法は、プーチンに屈辱を与えることだと考えている。
このような考えが、今よりはるかに積極的な軍事行動を求める声につながる。