兵器や和平調停についての決定を左右

 ウクライナの勝利を求める人と、ロシアが勝ってはならないと言うにとどめる人との相違は、ニュアンスの問題にとどまらない大きな意味を持つ。

 この見解の相違によって、ウクライナに供与される兵器の種類、さらに和平調停を推すべきか否か、いつ推すべきかについての重大な決定が左右されるからだ。

「何らかの和平合意」を拒絶するエストニアの姿勢は、ウクライナを「交渉のテーブルで可能な限り強い立場」に置くというバイデン氏が明示した狙いと好対照をなす。

 こうした見解の背後にあるのは、脅威に対する認識の違いだ。

 大きな危険はロシアの帝国主義だと考える向きは、ウクライナの勝利を求める用意がある。この陣営には、ポーランド、英国、バルト諸国、フィンランドが入っている。

 一方、ロシアと西側の戦争を一番心配している人は、モスクワが勝たないことについてしか語らない。

 全面的なウクライナ勝利を求めると、ロシアと西側との直接紛争、あるいはロシアの核兵器使用につながりかねないと心配している。

 フランスとドイツがこの陣営に入る。

中間に位置する米国の懸念

 極めて重要なのは、米国が両陣営の間のどこかに位置することだ。

 米国はウクライナへの軍事支援の大部分を提供しながら、両方の脅威への対応を均衡させようとしている。

 バイデン政権内の支配的な見方は、ロシアのウクライナ侵攻当初に核戦争について過度に心配した末に、西側は今、油断しすぎる危険がある、というものだ。

 ロシアの軍事ドクトリンは、国家の存続にかかわる脅威があった場合に核兵器の使用を認めている。