台湾南部の屏東県付近で行われた国産長距離地対空ミサイルの発射訓練(資料写真、2022年5月、提供:Taiwan Ministry of National Defense/AP/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 游錫堃台湾立法院長は、「中国は台湾侵攻を真剣に再考しなければならない。なぜならば今や台湾は独自に開発した『雲峰』超音速長距離巡航ミサイルを手にしており、中国は“800の敵を傷つけるために1000の味方が傷つくことになる”からである」と発言した。新たに開発された対地攻撃用長射程ミサイルが北京を射程圏内に収めていることを警告する発言である。

 それとともに游立法院長は、台湾は中国の武力攻撃に備えるため、自給自足の軍需生産能力を強化するべきであるとも述べた。

 もっとも、游錫堃氏が強調したのは中国と台湾が干戈(かんか)を交えることではなく、台湾の防衛意思は極めて強固ではあるものの最も重要なのは平和に共存することである、ということであった。

台湾の高度な巡航ミサイル開発製造能力

 報道では游立法院長は「雲峰」ミサイルがすでに量産体制に入っていると述べたとされているが、台湾国防当局者は量産体制に入っている点に関しては明言していない。ただし、台湾が独自に射程距離2000km程度の対地攻撃用超音速長距離巡航ミサイルを開発製造していることは以前より確認されていた。