(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年6月15日付)

想定外に高いインフレに手をこまぬいているわけにはいかない・・・

 想定外の高インフレ、重要なコモディティーの生産地での戦争、実質賃金の下落、経済成長の鈍化、金融引き締め政策に対する不安、そして株式相場の乱高下――。

 いずれも今日の世界経済で目にする現象だ。

 これらは1970年代の世界経済の大きな特徴でもあった。

 あの時代は1980年代の初めまで続き、米国の荒々しい金融引き締め、インフレの急減速、中南米を中心とする途上国での債務危機を経て幕を下ろした。

 あの時代の後には経済政策の大きな変化も続いた。

 従来型のケインズ経済学が葬り去られ、労働市場が自由化され、国有企業が民営化され、各国が貿易に門戸を開いた。

過去の過ちから学ぶべき教訓は何か

 こうした類似点、特に1970年代との類似は、今日の経済状況とどの程度似ているのだろうか。異なる点はどこだろうか。そして当時のミスから、何か学び取れることはないだろうか――。

 世界銀行は先日公表した「世界経済見通し(GEP)」で、こうした疑問に取り組んでいる。

 何が似ていて、何が似ていないかははっきりしている。とりわけ重要なのは、回避すべき過ちがいくつか存在することだ。

 具体的には、楽観的になりすぎないこと、高インフレを軽く見ないこと、そして脆弱な人や国をショック自体やそれらがもたらす耐えがたい遺産に対して無防備なままにしておかないことだ。

 今日見受けられる状況はすでにスタグフレーション――インフレ率が予想以上に高く、経済成長率が当初の予想より低い状況が長く続くこと――の域に入っているのだろうか。

 その答えは「まだ入っていない」だが、突入するリスクはある。