コロナ前、日本のドラッグストアには外国人観光客が列をなした(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

(田中 美蘭:韓国ライター)

 6月に入り、日韓両国で事実上、海外からの観光客の受け入れが解禁された。入国後の隔離などの行動制限についても、ワクチン接種の有無にかかわらず大幅に緩和されるなど、状況は急速に動き始めている。

 既に、出張で日本または韓国を訪れるビジネス客も増え始めており、今後は夏休みに向けて観光客の増加も見込まれていくだろう。残された最後のハードルは、コロナ前のように両国をビザなしで渡航できるようになることであろう。

 韓国では、2年以上にわたり、海外への渡航の制限を余儀なくされていた。そのため、今回の規制緩和によって日本への旅行が再開されることに喜びの声が上がっている。

 コロナ禍前の日本はインバウンド景気に沸き、特に「爆買い」という言葉を耳にする機会も多かった。今回の外国人観光客の受け入れ再開に、日本各地の観光地では「インバウンド」や「爆買い」を期待する声も上がっているという。

「爆買い」という表現は、主に中国人観光客の購買力を指していたが、韓国人観光客のショッピングに対する情熱や消費意欲は目を見張るものがあった。

 ところが、2019年夏に当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領による日本製品不買運動「NO JAPAN」が勃発。韓国マスコミの忖度報道もあって一気に広がり、日本について話題することがはばかられるような雰囲気になった。

 そして、翌2020年は年明けから新型コロナによる感染が世界的に拡大し、日本はおろか、海外への渡航は閉ざされる形となった。

 コロナ禍が長引くにつれて、SNSに過去の日本旅行の思い出を投稿したり、日本に行けるようになったらどこに行きたいかなどという話題で盛り上がったりするようになった。

 このように若い世代を中心に、韓国ではSNSによる口コミによって、日本の人気スポットやグルメ、ショッピング情報を拡散させるスタイルが定着している。日本の受け入れ再開や円安もあり、期待感はますます高まるだろう。