(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年6月3日付)

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長と握手するジョー・バイデン大統領(6月1日、NATOのサイトより)

 これが起きることは分かっていた。

 侵攻当初の数週間、ロシアが軍事的な屈辱に見舞われ、西側諸国の市民からあふれ出る支援に後押しされたウクライナの勇敢な抵抗で気分が高揚した時期を経て、退屈さが忍び寄ってきた。

 伝統的な戦争は通常、このようにして進む。

 高揚から絶望へ振れる初期の感情の起伏が、やがて倦怠感に取って代わられる。

 巧みな指導者は絶望感をうまく操り、行動につながる恐怖心に変える。それと比べると、退屈さははるかにしぶとい敵だ。

インフレや銃乱射事件に関心がシフト

 ジョー・バイデンの最近の発言は、この問題への認識を示している。

 ロシアのウクライナ侵攻から2週間で、米大統領の支持率は47%まで跳ね上がった。西側の弱みが痛感される瞬間に、米国人は結集した。

 ロシア軍の部分的な後退に伴い、同じ米マリスト大学の世論調査での支持率が再び、2月24日の侵攻前の39%へ落ち込んだ(以来、支持率は41%程度まで若干持ち直している)。

 後から振り返ると、これは、高いところから落とせば死んだ猫でも跳ね返る程度の反発に思える。

 一定の決意と信念を示したにもかかわらず、バイデンはウクライナ問題への対応について何の功績も認められていない。

 米国の一般市民の関心は今、インフレ高進と学校での銃乱射事件、セレブのスキャンダルに向けられている。