(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年5月21・22日付)

同国として初めて対外債務のデフォルトに陥ったスリランカの首都コロンボ

 文豪レフ・トルストイが今日の経営環境について書いていたとしたら、幸福な経済はどれも似ているが、不幸な経済はそれぞれに不幸だと指摘したかもしれない。

 中国の成長見通しは、新型コロナウイルスのオミクロン型の感染拡大を抑制しようとする厳しいロックダウン(都市封鎖)によって大打撃を受けた。

 米連邦準備理事会(FRB)は米国の好況を不況に変えてしまう恐れがある。

 欧州の世帯は生活費危機に耐えている。そして多くの新興国では状況がさらにひどく、食料危機、場合によっては飢饉(ききん)さえもが忍び寄ってきている。

ムードが暗転、怯える金融市場

 内容は異なるが、いずれも際立つこれら4つの問題がパンデミックからの回復を遂げつつある世界経済に影を落としており、ムードが暗くなっているのも意外ではない。

 国際金融協会(IIF)チーフエコノミストのロビン・ブルックス氏によると、こうしたショックが重なったことは世界経済がすでにトラブルに陥ったことを意味する。

「我々はまたしても世界同時不況の不安に襲われているが、今回は杞憂ではないと我々は考えている」と話す。

 金融市場は恐怖に駆られている。

 MSCI世界株指数は5月半ばの1週間だけで1.5%以上下げ、5月に入ってから5%以上、1月初めの高値からは18%以上も下げている。

 投資調査会社BCAリサーチのチーフストラテジスト、ダバル・ジョシ氏は、株式の難局に加えて、債券、インフレ連動債、工業用金属、金、暗号資産の急落もあったと指摘する。

「前回『全面安』の星の並びが起きたのは、1981年初め、ポール・ボルカー率いるFRBがインフレを叩きのめし、スタグフレーション(景気停滞とインフレの同時進行)が完全な景気後退に転じた時のことだ」とジョシ氏は言う。