日本海海戦に第1戦艦隊の旗艦として参戦したロシア帝国軍の「クニャージ・スヴォーロフ 」(1904年、ウィキペディアより)

 スウェーデンとフィンランドは5月18日、北大西洋条約機構(NATO)に加盟申請した。

 ロシアのウクライナ侵略を受け、両国は中立政策を放棄するという歴史的な転換を決定した。

 もし、ウクライナが2014年時点でNATOに加盟していたら、ロシアがクリミア半島を併合したり、親ロ派が一方的に「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立宣言をすることはなかっただろう。

 そして、今回のようにロシアが国際法を無視してウクライナに侵略することもなかったであろうと誰しもが思っている。

 このように今、軍事同盟の重要性が見直されている。

 筆者は、最近の日本と英国の安全保障・防衛分野の協力関係の拡大・深化を目の当たりにして、日英同盟の復活を期待している。

 さて、日英同盟の復活といっても、締約国の一方が攻撃されたら、自動的に参戦義務を伴った条約に基づく、いわゆる攻守同盟までは期待していない。

 例えば、5月11日に英国が、ロシアの脅威から守るため、スウェーデンおよびフィンランド両国と合意した「安全保障に関する宣言又は声明」のようなものでよいと思う。

 同宣言では「一方の国が災害や攻撃を受けた場合、もう一方の国は要請に応じて軍事的な手段を含む様々な手段で支援する」と明文化されている。

 ただ、この宣言は法的義務や自動的参戦義務を規定したものでなく、要請があれば英国が軍事的な支援に向かうことを政治的に宣言するという位置づけである。

 では同盟とは何か。

 同盟の定義は学界的にも国際的にも定まっていない。

 専門家の間では自国の領域を守るため侵略に共同で武力行使する関係として狭く解釈する考え方と、安全保障のあらゆる分野で平和時から協力し合う関係として広く解釈する考え方が併存している。

 米国では、政府もメディアも、同盟条約がない国でも「ally(同盟国)」とか「alliance(同盟)」という言葉を使用しており、非常にあいまいである。

 例えば、条約がなくても米国から同盟国扱いされている国としては、イスラエルやシンガポールがある。

 日本も条約がどうのこうのとか考えずに、もっと気楽に考えてもよいのではないだろうか。

 さて、本稿の目的は、日本と英国の安全保障・防衛分野の協力関係の拡大・深化の変遷を紹介することである。

 以下、初めにインド太平洋に進出する英国の外交・防衛政策について述べ、次に最新鋭空母クイーン・エリザベスのインド太平洋への派遣の意義について述べる。

 次に日英両国の安全保障・防衛分野の協力の拡大・深化の足跡について述べ、最後に防衛装備品に関する日英の共同研究・開発について述べる。