(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年5月18日付)

初来日したバイデン大統領(5月22日、米軍横田基地で、写真:AP/アフロ)

 ロシアがウクライナで何をしようと、ジョー・バイデンの最大の関心事はやはり中国の脅威だ――。

 本人がこの点を明確にした。

 しかし、あまり語りたがらないこともある。それは、米国が片手を後ろ手に縛られて中国との対決に臨んでいるということだ。

 米国は防衛予算の増額、南シナ海への艦船の追加派遣、オーストラリアとの原子力潜水艦開発事業などは喜んでやる。

 しかし、米国が世界で最も活力ある地域と真剣な経済構想を始めるなどとは、ゆめゆめ考えない方がいい。

危険を高める非対称な戦略

 バイデンの中国政策に潜むこの明らかなアンバランスは、大統領の韓国、日本訪問で際立つことになる。

 両国訪問に先立ち、米大統領は東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳たちとのサミットに臨み、海洋安全保障、クリーン・エネルギー、汚職防止などの事業のために1億5000万ドルの基金を設けると発表した。

 あまり価値のないこの願い事リストは、中国の「一帯一路」構想による投資額の数日分にとどまる。米国防総省(ペンタゴン)の支出額に照らせば、約2時間分だ。

 バイデンの中国政策の非対称性は、誰もが恐れている危険を一段と大きくする。中国との紛争がそれだ。

 軍事支援や兵器の話は喜んでするが、貿易や投資の話はしたがらない超大国は、敵味方の双方に対して1つの言語しか話さないことを告げている。

 これでは、軍事同盟重視の姿勢が優勢になり、米中間の緊張を和らげる可能性があるほかの種類の外交を退けてしまう恐れが強まる。

 退けられる外交の最たるものは、バイデンと習近平との首脳会談だろう。今のところ開催される気配は全くない。