5月20日、尹錫悦大統領とともに訪れた平沢(ピョンテク)市にあるサムスン電子の半導体工場でスピーチするバイデン大統領(写真:ロイター/アフロ)

 韓国の大統領が、日本の総理大臣に先駆け、アメリカの大統領との首脳会談を実現させた――その一点だけをみても、韓国の歴史において大きな一歩となった。

 バイデン米大統領が20日から2泊3日で韓国を訪問し、尹錫悦(ユン・ソンニョル)新大統領と初の米韓首脳会談を行った。両国の首脳が、米韓同盟をグローバル包括的戦略同盟に発展させていくことを宣言した今回のイベントは、初選挙を控えた尹錫悦政権と与党に極めて有利に働くことになるだろう。

現大統領の功績に便乗しようとする前大統領

 韓国メディアが「歴代政権の中で最も早い米韓首脳会談」と報じているバイデン-尹間の初の米韓首脳会談は、24日に日本で開かれるクアッド首脳会議が契機となっている。今年の2月から日本メディアでは、バイデン大統領がクアッド会議出席のための訪日の際に韓国を訪れる計画を持っていると報じられていた。ただ、訪日よりも前に韓国を訪問するのは、全面的に尹錫悦政権が引き出した成果だ。

 歴代米大統領のアジア歴訪は通常、日本を先に訪問した後、韓国を訪問するという順だった。今回のバイデン大統領のアジア歴訪でも当初は日本を先に訪問する予定だったが、尹錫悦大統領側の要請で韓国を先に訪問することになった。

 尹錫悦政権が「歴代政権の中で最も早く」、しかも「日本より先に」米韓首脳会談を成功させたことは、きっと韓国国民から高い評価を得るだろうし、新政権に対して国民の最初の審判が下される6月1日の地方選挙の結果にも大きく影響するものと見られる。