柵原ふれあい鉱山公園(写真提供:『とんび』製作委員会)

『カムカムエヴリバディ』『とんび』『三丁目の夕日』──。この3つの作品にはある共通項がある。家族がテーマになっている点と、岡山県がロケ地になっていることだ。

 国民的人気を博したNHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』では岡山市、重松清原作の『とんび』では浅口市や笠岡市など、2011年公開の『ALWAYS三丁目の夕日’64』では岡山市などがロケ地となった。そう、岡山は映画やテレビドラマなどのロケ地として、近年、人気が高まっているのだ。

『とんび』監督がロケ地に求めたもの

 岡山県の岡山観光WEBには、映画やドラマ、TV番組、TVCMなどで岡山がロケ地となった作品が279件もリストアップされている。映画の最新作はウルトラジャンプで連載・コミックス化された『恋は光』(神尾楓珠主演)で、6月17日に全国公開される。

 映画のロケ地といえば、関東では交通の便が良く自然環境が豊かな茨城県が人気で、数多くの作品が撮影されてきた。では、岡山にはロケ地としてどんな魅力があるのだろうか。4月8日に公開された『とんび』(主演・阿部寛)を紹介する岡山県のサイトに、ヒントが隠されていた。

 重松清のベストセラー小説を原作とするこの作品は、瀬戸内海に面する街を舞台に親子の不滅の絆を描いた家族の物語だ。瀬々敬久監督はこんなコメントを残している。

〈瀬戸内海に面したその地方独特の町の雰囲気を出したいと思いロケハンしました〉

 主人公・市川安男を演じた俳優の阿部寛はこう語っている。

〈気候が非常に穏やかで、人もすごく穏やか。街の皆さんが撮影を最後の最後まで支えてくださり、非常に嬉しかったです〉

青佐鼻海岸で行われた夜間ロケ(写真提供:『とんび』製作委員会)