アップル社員、幹部に方針を見直し要求

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米アップルの社員らでつくる「Apple Together」と呼ぶグループは、幹部宛の公開書簡で会社の出社再開方針を見直すよう要求した。書簡には1400人以上の現職・元社員が署名した。アップルでは22年4月前半に少なくとも週1回の出社を開始し、出社日を徐々に増やして5月下旬から月・火・木曜日の週3日出社とする計画だ。

 この書簡で社員らは「私たちを、いつどこにいなさい、宿題はこれをしなさい、などと言われなければならない児童のように扱うのはやめてほしい」と訴えた。アップルは米国で約16万5000人を雇用しているという。

「どこでも勤務」容認のツイッターやエアビー

 米テック大手の中ではグーグルやアップルのほか、米マイクロソフトなども社員に出社再開を求めている。米国ではコロナ禍の在宅勤務の広がりを背景に、家賃の高いテクノロジー拠点から離れて他の都市に移住した人も多くいる。そうした人や在宅の継続を希望する人は、再びオフィス近くに引っ越すか、長距離通勤を覚悟するか、会社を辞めるかの選択を迫られているという。

 一方で、柔軟な働き方を認める企業はこの動きをチャンスと捉え、ライバル企業から人材を奪っている。民泊大手の米エアビーアンドビーは22年4月、「社員は海外も含め、どこからでも遠隔で勤務できる。給与は減らない」と明らかにした。告知後の3日間で同社の募集サイトには約80万件のアクセスがあったという。

 米SNS(交流サイト)のツイッターや米不動産情報のジローもほとんどの社員に対し勤務地を定めていない。

 ウォール・ストリート・ジャーナルの22年3月23日付記事によると、メタ(旧フェイスブック)では、マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)を含む経営幹部が、シリコンバレーの本社から遠く離れた場所に散らばり、リモートワークの限界に挑戦しているという。

 ただ、一部のテクノロジー大手はここに来て成長が鈍化している。これにより新規採用ペースを緩める動きも出てきた。今後は米労働市場の需給バランスが崩れ、社員側の要求が通りにくい状況が生まれる可能性もあるとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

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