(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年5月17日付)

ウクライナ軍によって破壊されたロシア軍の戦車や輸送車(5月16日撮影、キーウ近郊のブチャで、写真:ロイター/アフロ)

 事態を読み誤ったのは、ウラジーミル・プーチンだけではなかった。

 ロシア軍が数日でウクライナを制圧すると踏んだロシア大統領の想定は広く共有されていた。

 ロシアがウクライナに侵攻すると正しく予想した欧米の情報機関も、プーチンが恐らく速やかな勝利を手に入れると考えていた。

 だが、戦争開始からほぼ3カ月経った今、ロシア軍は行き詰まり、多大な損失を被っている。

 フィンランドとスウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)加盟を計画していることが確認され、ロシアの国際的な孤立は一段と悪化している。

なぜ勝てると思うのか?

 そして今、ロシア軍の無能さが盛んに取り沙汰されている。だが、ロシア軍の問題については特別な説明は必要ないのかもしれない。

 現代では、大国が比較的小さな国に侵攻した時には大抵、敗北を喫する結果になる。

 米国はベトナム、アフガニスタン、イラクで侵攻に失敗し、ソマリアとレバノンへの小規模な軍事介入の後にも屈辱的な撤退に追い込まれた。

 旧ソ連はアフガニスタンで侵攻に失敗した。そしてロシアが今、ウクライナで失敗しつつある。

 インドの学者プラタップ・バヌー・メータ氏が考察しているように、「非対称戦争で勝つことにかけては悲惨な実績しか持たないにもかかわらず、強国が勝てると考え続けるのは、国際政治の大きな謎の一つだ」。