香港行政長官に当選した李家超氏(中央、写真提供:香港政府新聞処)

 香港のトップを決める第6回行政長官選挙が5月8日に行われ、唯一の候補者だった李家超(ジョン・リー)政務長官が当選した。李氏は中国政府の支持を受けていた香港のナンバー2である。選挙委員会によると投票率は97.74%。1428人の選挙委員が投票し、李氏は1416人の票を獲得して当選、7月1日に就任する。警察官僚出身がトップを務めることになる香港の行方について、香港の政治・経済に詳しい日本貿易振興機構(JETRO)アジア経済研究所 開発研究センターの久末亮一副主任研究員に再び話を聞いた。(高橋 清:ジャーナリスト)

(参考)久末氏へのインタビュー記事「歴史の必然、専制国家の手に落ちた香港がたどる『衰退』への道

中国は「出来レース」批判でも気にしていない

 今回は単独立候補者に対する事実上の信任投票となったが、久末氏は得票率が99.2%に達したことについて「評価するにも値しない出来レースです。常識的な民主制に基づく選挙としては論外です」と厳しく評した。中国の全国人民代表大会での法案賛成率もだいたいこのような数字になるため、典型的な中国スタイルのやり方であるという。

「5月4日に香港の2022~2023年度予算が立法会で成立していますが、すでに民主派が徹底排除された中で、賛成87、反対0、棄権1となりました。もはや香港政治は『中国の政治的論理』に収斂され、それに基づいて動いています」

 そんなことをすれば国際世論から批判されることは中国政府もわかっているはずだが、「気にしていません。香港は中国の主権下にあり、その統治は自分たちの自由で、1国2制度についてもイギリス政府と結んだ国際協約の拘束力自体を今や認めない、という立場です。2012年に習近平国家主席が就任して以降、『中国独自の価値と方法で香港とマカオを統治する。それ以外の何物でもない』という考えだからです」と説明する。