(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年5月14・15日付)

民主主義は非常に脆いものだが、権威主義は一見うまく行っているように見えても組織の内部を確実に腐らせていく

「民主主義の危機」という言葉は、今の時代の決まり文句だ。だが、それよりはるかに重大な「独裁制の危機」についてはどうか。

 中国、ロシア、トルコ、そしてアフリカ最大の権威主義国家と言えるエチオピアは、メルトダウンを起こしているではないか。

 2008年の世界金融危機から昨年までの間、権威主義の国々は効率が高いと考えられ、たびたび称賛されていた。

 確かに、経済は西側諸国よりも速いペースで成長していたし、中国などはもう何十年もそうだった(もっとも、自ら招いた大飢饉を出発点に据えるなら、豊かになるのは簡単だ)。

 権威主義の国々が物事を長期的に考えられるのに対し、民主主義国の指導者はいつも選挙のことを心配しなければならないと説く人もいた。

 この優位性は中国が気候変動と戦う際に寄与すると指摘された。

 2020年春になると、中国は効率的にロックダウン(あるいは市民のロックアップ)を行った。

 片や民主的に選挙で選ばれた米国の大統領は、新型コロナは魔法のように消えると約束し続けていた。

 ところが今度は、権威主義の国々がトラブルに見舞われている。しかもそのトラブルは、我々のそれをはるかにしのぐ大きさだ。

コロナ禍に見る独裁制の欠点

 中国の独裁制はパンデミックを悪化させた。

 新型コロナは武漢の研究所の事故から始まったわけではないと仮定したとしても、中国の秘密主義のせいで、世界が対応策の準備にかけられる時間が数カ月間短くなった。

 もしあのウイルスが例えばイタリアで発生していたら、2019年11月下旬までには世界中の疫学者に情報が伝わり、対策が練られていただろう。