地球で観察できるアンドロメダ銀河は210万年前の光。そこには1兆個の星があるという

 月の1日は地球の1か月の長さがあり、大宇宙の空間には、その星の一昼夜が地球上の数百年に相当する星が存在するかもしれない。

 太陽系のある銀河系は端から端まで15万光年の広さがある。

 地球から見える、いま輝いている月の光は1秒前、太陽は8分前、アンドロメダ銀河は210万年前の光である。

 私たちは宇宙を感じようとする時、空を見上げるものだが、もし、天空に星や月が存在しなかったら、夜空に星は煌めかず、淡い月の光が夜の世界を彩ることもない。

 となれば、虚空の闇の中で人類は大いなる宇宙の存在も知らず、天文学はもちろん、宗教的情操も、いまほど豊かにはならなかったであろう。

 太古の昔より、旅人たちが星や月に導かれて目的地へ旅したように、人類は長い歳月を星や月と密接に関わりをもってきた。

 普段私たちが見ている宇宙とは、銀河系や太陽系などの宇宙を指す。

 密教には独自の宇宙観がある。

 それは宇宙とは森羅万象そのものであり、外的な宇宙空間だけでなく、内なる世界という次元的な要素を含んでいる。

 人間は世間から生まれ出て、世間の中に葬られてしまうように捉えらえられがちだが、包括的見地からすれば、人は天地から生まれて天地に葬られ、そこに森羅万象を司る大いなる者の采配があると想像できる。

 弘法大師空海は、当時最先端だった仏教思想である密教を学ぶため唐に留学し、その奥義を修得して帰国。真言宗を開いた。

 真言とは、大宇宙を司る大生命体を擬神化した大日如来の教えが真実の言葉という意から、それを唱えることで自らが如来と一体となるというのがその奥義である。

 言葉を超えた領域の世界であることから真言秘密と称された。

 密教では私たちの天空に広がる大宇宙と、自身の内部に宿る小宇宙が一体化して連動することを瑜伽の境地と明示している。