5月9日、対独戦勝記念日の軍事パレードでのプーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 北欧の安全保障体制が猛烈なスピードで変化している。

 日本を訪問したフィンランドのサンナ・マリン首相は、5月11日、岸田文雄首相と会談し、ロシアによるウクライナ侵略を非難した。そして、両首相はロシアの脅威に対する安全保障上の認識を共有した。

 翌12日、同国のニーニスト大統領とマリン首相は、フィンランドのNATO加盟へ踏み切った。ロシアのウクライナ侵略が国民世論を大きく変えたのである。侵攻前には20%台だったNATO加盟支持が、直近の世論調査では78%にまで伸びている。

NATOに靡く北欧諸国、ロシアは軍事的措置も示唆

 スウェーデンもまた、同様にNATOへの加盟申請を検討している。北欧でもNATOの拡大が行われれば、それはプーチン大統領の予期していなかった事態である。

 30年前のソ連邦、ワルシャワ条約機構軍の解体以降、NATOの東方拡大が加速化した。ウクライナの加盟は何としても阻止したいという決意で、プーチン大統領は、ウクライナに侵攻したのである。

 ロシアは、フィンランドやスウェーデンの動きに反発しており、何らかの軍事的対抗措置も講ずると明言している。