(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年5月4日付)

ウラジーミル・プーチンの戦争の経済的コストを欧州連合(EU)はどう管理すべきなのか。
コストの管理は、そうしたコストを最小限に抑えることと同じではない。これは戦争であり、欧州の未来、ことによると民主主義そのものの未来をも左右する戦争だ。
このような時期には、経済政策の狙いは戦争努力を支えることになる。
政策はEUに対するコスト、特に最も脆弱なEU市民に対するコストと比較して、侵略者側が負うコストを最大化することを目指すべきだ。
これはどうやって成し遂げるべきなのか。
戦争の経済的コスト
この問いについて考えるのであれば、分析の枠組みが必要になる。
国際通貨基金(IMF)元チーフエコノミストのオリビエ・ブランシャールがジャン・ピサニフェリーとともに、最近の論文でこの枠組みを提供している。
両氏は3つの課題を挙げた。
まず、「EU経済に対する悪影響を制限しながらロシアを抑止するために制裁を使う最善の方法は何か」。
次に、エネルギー輸入のコスト上昇から生じる実質所得の減少にどう対処するか。
3番目に、新型コロナウイルスのパンデミック後の物価高騰に追い打ちをかけるように起きたエネルギー・食料価格上昇が引き起こすインフレ高進をどう管理するか、だ。