英国ロンドンのガソリンスタンドで給油する車。ロシアのウクライナ侵攻を受けてガソリン価格が高騰した(資料写真、2022年3月8日、写真:AP/アフロ)

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米WTI原油先物価格は5月に入り、1バレル=100ドル台で推移している。

 ロシア産原油の供給懸念による価格上昇圧力と中国の原油需要の減退懸念による価格低下圧力が綱引きする構図となっている。

EUによるロシア産原油禁輸措置

 まず供給サイドの動きを見てみたい。

 欧州連合(EU)は5月4日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアからの原油輸入を6カ月以内に停止するなどの追加制裁案を公表した。発動には全加盟国の合意が必要であることから、ロシア産原油に依存するハンガリーとスロバキアは来年(2023年)末までの猶予が与えられた。

 米国と英国は既に禁輸を決定したが、ロシア産原油の占める比率が4割と高いEUは加盟国内の調整に難航していた。