フロリダ州にあるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート(4月22日撮影、写真:AP/アフロ)

子供たちにホモやゲイについて教えるな

 米共和党の牙城、南部フロリダ州がLGBTQ(性的少数者)を児童に教えるか否かをめぐって、ディズニーを巻き込んでカオス状態に突入した。

 次期大統領候補を虎視眈々と狙っているトランプ派のロン・デサンティス現職知事(共和党)と「ドル箱」のウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートが激突したからだ。

 一地方自治体とテーマパーク巨人の対決の背景には、米国を分裂させている保守対リベラルの「カルチャー戦争」があり、共和党と民主党との政治対決がある。

 10カ月後に迫った上下両院選、知事選、そして2年後の大統領選に向けた前哨戦の様相すら見せている。

 ことの起こりは、同州上下両院*1が「幼稚園児から小学校3学年までLGBTQについては教えてはならない」という法案(通称「Don’t Say Gay」法)を可決成立、デサンティス氏がこれに即座に署名したことにある。

https://www.nytimes.com/2022/03/28/us/desantis-florida-dont-say-gay-bill.html

 同氏はドナルド・トランプ前大統領支持の急先鋒だが、万一トランプ氏が再出馬しなければいつでも大統領候補に名乗りを上げる構えを見せている。

 共和党支持者による世論調査でも次期共和党大統領候補の2位につけている。

*1=フロリダ州上院は共和党24、民主16、下院は共和78、民主42各議席で「共和党天下」だ。

 ディズニー・ワールドの親会社、ディズニーのロバート・チャペック最高経営責任者(CEO)は州議会が同法案を審議しているさなか、以下のような社内メモをネット上で流した。

「こうした法案は審議すべきではない。わが社のLGBTQ社員および関係者に対する偏見・差別は絶対にあってはならない」