軍事用のGPS衛星を打ち上げた米国宇宙軍(2021年7月21日、米国宇宙軍のサイトより)

 ロシアによるウクライナの軍事攻撃は当分、止みそうにない。ロシアの戦車が列をなしてウクライナに攻め入る光景は、20世紀の戦闘を彷彿させるものがある。

 そうした中、米国は宇宙空間での軍事化を進めるために21世紀型の軍事増強を推し進めている。

 というのも、ロシアと中国が米国の運用する多くの人工衛星に対してサイバー攻撃を仕かける能力を持つため、米国は両国に対抗していく軍事力を高める必要があるのだ。

 実際にロシアは昨(2021)年、宇宙空間にある衛星からミサイルを発射して、軌道上にある他の衛星を破壊している。

 中国もまた、他の衛星をつかむことができるロボットアームを搭載した衛星を保有している。

 過去1カ月半ほど、ウクライナを中心に、地上での戦闘に目がいきがちだが、中長期的な軍事戦略としては宇宙空間での戦いにも注目をしていく必要がある。

 実はドナルド・トランプ政権末期の2019年12月、米国は「宇宙軍(USSF)」を発足させ、米軍としては6番目の軍種となった。

 ジョー・バイデン大統領は以前、「トランンプ前大統領が導入した政策はすべて見直す方針」と述べていたが、宇宙軍は見直しの対象外であり、逆に増強する方向にある。

 ホワイトハウスのジェン・サキ報道官も会見で、「バイデン政権は宇宙軍を全面的に支持している」と述べている。