ムーミンバレーパークのムーミン屋敷

「ウェルビーイング」(身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること)というキーワードが生み出す大きな潮流は、日本人のライフスタイルをどのように変えるのか? また、どんな新しい産業や市場を生み出すのか? 消費者目線で社会トレンドをウォッチし続けてきた統合型マーケティング企業「インテグレート」のCEO・藤田康人氏が考察する本連載。前回につづき、ウェルビーイングに取り組む実践者たちとの対談を通じて新しいビジネスの形を探っていく。

 今回は、「ムーミンバレーパーク・メッツァビレッジ」(埼玉県飯能市)の運営を手掛ける「株式会社ムーミン物語」にフォーカスする。トーベ・ヤンソンのムーミンの世界観を満喫できる「ムーミンバレーパーク」と、北欧諸国のライフスタイルをテーマにした複合商業施設「メッツァビレッジ」からなる「ムーミンバレーパーク・メッツァビレッジ」は、2019年に開業した。

 2周年記念を迎えた昨年(2021年)の秋には、新コンセプトに「ウェルビーイング」を据えたリニューアルが行われた。代表のロバート・ハースト氏に、藤田氏が「ウェルビーイングをコンセプトにしたテーマパーク」誕生の経緯を聞いた。(JBpress)

物語の世界観を実現できる場所

藤田康人氏(以下、敬称略) ムーミンのテーマパークとしては海外初進出だと聞きました。元々、計画はどのように進めていったのですか?

ロバート・ハースト氏(以下、敬称略) まずは、土地探しから始まりました。テーマパークが日本にできることを耳にした、全国各地のさまざまな場所からラブコールがありましたが、大切なのは原作者のトーベ・ヤンソンが描いたムーミンの物語の世界観を実現できるかどうかという点。北は北海道から南は九州まで、じっくりと時間をかけて検討していきました。