キーウ近郊で対戦車ミサイル「NLAW」の使い方を教わるウクライナ兵士(3月9日、写真:ロイター/アフロ)

 ウクライナは、壮絶な戦いを強いられている。だが、次のロシア軍の総攻撃を凌げば、反撃に転移し、2月24日の侵攻前のラインまで押し戻すことが可能になるだろう。

 これまで、ウクライナの死力を尽くした国家総力戦は、あらゆる面で尊敬に値する。

 ウクライナは、世界を味方にした。兵器が撃破されても、NATO(北大西洋条約機構)を中心に兵器や軍費の支援が次々に得られている。

 ロシアは、許されない無法な戦いを強行し、悪の国家の烙印を押された。この汚名を払拭するのに、とてつもない長い年月を必要とするだろう。

 侵攻を受けたウクライナの国家防衛戦略は、いろいろな観点から参考になることが多い。

 日本としても、現実的に戦いを遂行しているウクライナの国家運営、国防戦略さらに作戦戦術などから、多くの教訓が得られる。

 ウクライナの人々が苦しんでいるのに、教訓が得られるなどとは、不道徳なことと言われるかもしれない。

 しかし、現実的に我が国の防衛を深刻に考えるときは今しかない。

 具体的には、以下の事項について、ウクライナの戦いの教訓を日本の防衛に当てはめて考察する。

①近代兵器を持つ2国が戦えば、どれほどの兵器の損失が出るのか

②激烈な戦いを強いられていても、国家機能を停止させないためには

③大きな兵員や兵器の損失があっても、敗北しない戦いを続けるには

④関係国の軍事的協力を得るための努力、同盟国に日本で戦ってもらうには

⑤世界のリーダーの心を掴むメディア戦略