(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年3月23日付)

ウラジーミル・プーチンのウクライナ侵攻は、我々の世界を作り替える。どのように作り替えるかは、まだ不透明だ。
戦争の結果と、世界経済に対する影響を含めたより広範な波及効果の双方が、おおむね分かっていない。
だが、いくつかの点はすでに明々白々だ。
新型コロナウイルスのパンデミックの始まりからわずか2年後に訪れた戦争は新たな経済的ショックであり、ウクライナにとって壊滅的、ロシアにとって甚大、残る欧州諸国と世界の大部分にとって大きな衝撃になる。
いつものように、難民の影響は主にローカルだ。ポーランドはすでに、トルコに次いで世界で2番目に多い難民人口を抱えている。
難民は他の東欧諸国にも流れ込んでいる。今後もその数が増えていくだろう。
また、多くの人は早々に戻れることを期待し、母国の近くにとどまることを望む。彼らに食べ物と住まいを与える必要がある。
GDPとインフレに直接影響
ただし、経済協力開発機構(OECD)がまとめた秀逸な暫定経済見通しが示しているように、戦争の影響は東欧どころか、欧州全体の域をも大きく超えて広がる。
ロシアとウクライナは世界の国内総生産(GDP)合計の2%しか占めておらず、世界の貿易に占める割合も同程度だ。
ロシアに対する外国直接投資(FDI)とロシアによる対外FDIのストックも世界合計の1~1.5%程度だ。国際金融における両国の役割全体も取るに足りない。
それでもロシアとウクライナは世界経済にとって重要だ。