(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年3月25日付)

ポーランドの首都ワルシャワでロシアによるウクライナ侵略を激しく非難するバイデン大統領(3月26日、写真:ロイター/アフロ)

 米ワシントンで最もよく耳にするセリフの一つに、ロシアは今や世界的に孤立し、曖昧な態度を取っている国の筆頭は中国だ、というものがある。

 米国は、自らのPRに惑わされてしまう恐れがある。

 ロシアのウクライナ侵攻に対する世界の反応は、それよりはるかに複雑だ。今年2月24日以降、西側陣営は駆り立てられるように、ここ数年見られなかった強い結束力を発揮してきた。

 しかし世界の大半は、一歩引いた立場を取って成り行きを見守っている。

人口では世界の半分がためらい

 自分たちのコンセンサスを世界全体の総意だと取り違えるのは、西側にとって初めてのことではない。一つのミスリーディングな尺度は、国連に見て取れる。

 3月初めに開かれた国連総会では、ウラジーミル・プーチン大統領が国際法にあからさまに違反していると非難する決議案に対し、193の国連加盟国のうち141カ国が賛成した。

 だが、投票を棄権した国が35カ国あり、その人口を足し合わせると、世界全体のほぼ半分に達する。

 ここには中国、インド、ベトナム、イラク、南アフリカが含まれる。ロシアに同調して反対票を投じた国々も足し合わせれば、世界人口の半分を超える。

 もっと言えば、名目上はロシアを非難している国の多くは、賭けをヘッジしている。

 サウジアラビアは、原油の代金を人民元で支払いたいという中国の要請を検討している。この話がまとまれば、米ドルの力を削ぐ要因になる。

 またサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)は3月、ジョー・バイデン米大統領が原油の増産を要請しようとした時に、電話を受けるのを拒んだ。

 米国大統領が袖にされるのは珍しいことだ。