3月10日、大統領選の当選確実となった「国民の力」尹錫悦候補は党本部前で支援者らの声援に応えた(写真:AP/アフロ)

 韓国の4419万7692人の有権者は、とてつもない男を、いや、とんでもない男を、次期大統領に選んでしまったものだ。

 3月10日午前3時半頃になって、韓国メディアが次々と、野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補(61歳)が、次期大統領に当選確実になったと速報を伝え始めた。それから4時20分になって、「国民の力」の党色である赤いネクタイを締めた尹氏本人が、「国民の力」の選挙本部に姿を見せ、当確の挨拶を行った。

薄氷の勝利

「皆がともに力を尽くしてくれた我が『国民の力』の職員たち、議員の皆さんに、とても深く感謝申し上げます。実に熱い、とても情熱的なレースだったと思います。この過程を通して多くのことを感じ、学び、そして本日、その結果は、私と我が『国民の力』、そして安哲秀(アン・チョルス)代表とともにある『国民の党』の勝利というよりも、偉大な国民の勝利ではないか、そのように思います。

 そして最後までともに格好よく走ってくれた我が民主党の李在明(イ・ジェミョン)候補、正義党の沈相奵(シム・サンジョン)候補のお二人にも感謝申し上げます。また、結果は成し遂げられていないけれども、大韓民国の政治の発展に、私たち皆がともに大きな寄与をしたという点で、その価値を高く評価したく、そしてお二人にも心からの慰労の言葉を差し上げたいです。