ライス大学ベイカー研究所のロシア・エネルギー問題の専門家、アンナ・ミクルスカ氏によれば、旧東側諸国は最も攻撃を受けやすいところでもある。

 最も極端なケースがウクライナだ。

 ガスプロムはウクライナに安価なガスやそのほかの便宜を提供しており、ウクライナが西側に近づいた時には、その罰としてガスの供給を一時的に止めたりしている。

 最近ではモルドバも同様な扱いに苦しめられている。

 ウクライナを相手とするロシアの戦争は、ガスプロムの地政学的な蛮行をくっきりと浮かび上がらせている。

 侵攻を受けてブレント原油の価格は1バレル100ドルを突破し、2014年以来の高値を付けた。すると、ロシアが世界第2位の生産国である天然ガスも急騰した。

 かつては、ウクライナを通過する「同胞ネットワーク」が、ガスプロムによる欧州へのガス供給の主要経路だったが、最近では輸送量が落ち込んでいる。

 それでも、重要なパイプラインが破壊されるとの恐怖心から、天然ガス価格は高止まりすることになりそうだ。

 プーチン氏が戦争の一環としてガスの供給を止める恐れがあるとの懸念にも、同様な効果があるだろう(もっともプーチン氏は、欧州の現金を財源にすることの方を好むかもしれない)。

 ガスプロムが欧州への供給を続ける限り、天然ガスの高値は同社にとって良いことだ。

クレムリンへの揺るがぬ忠義

 ドイツがノルドストリーム2――総額95億ユーロ(107億ドル)を投じて建設されたロシアとドイツを結ぶ海底パイプライン――の承認手続きを停止したことは、それほど大きな変化をもたらさない。

 この手続きはドイツの法的な事情によりすでに中断されていたからだ。