(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年2月9日付)

英国経済は先進国の中で最も厳しい環境にさらされている

 イングランド銀行(中央銀行)が今、英国の税引き後実質労働所得は今年2%減少し、2023年にはさらに0.5%減ると予想している。

 過去70年あまりで最も弱い伸び率となる。気が滅入るようなこの見通しは、輸入物価の急上昇と、経済全体のインフレのリスクという困難を反映している。

 主要な高所得国のなかでも、英国は特に手痛い打撃を受けているようだ。

 インフレのリスクは米国のそれに似ているように見えるが、英国はエネルギーを大量に純輸入する国でもある。輸入が特に多いのは天然ガスで、その価格は爆発的に上昇している。

 英国政府は、パンデミックの雲が消えれば景気に日が差すだろうと期待していたのかもしれない。

 だが、毎度のことだが思惑通りには行かなかった。経済、国民、政府の三者は厳しい時期に直面している。

イングランド銀行の厳しい予測

 イングランド銀行が2月3日に公表した金融政策報告書(MPR)には次のような記述がある。

「世界のインフレ圧力は著しく強まり続けている。その主な原動力は、エネルギー価格の急上昇と、貿易可能財の需給不均衡による価格上昇圧力だ」

「英国加重平均ベースによる世界輸出物価の前年同期比上昇率(エネルギーを含む)は2021年第4四半期に11%前後に高まった模様だ」

 英国は世界経済から「支配権を取り戻す」ことができていない。

 驚いたことに、主要7カ国(G7)で昨年記録されたモノの消費の増加分は、そのほとんどが米国によるものだった。これが供給のボトルネックを引き起こした。

 イングランド銀行の予測では、インフレは4月に7.25%でピークを迎える。昨年12月から今年4月までの物価上昇の4分の3が、エネルギーと財の価格上昇によって引き起こされる計算になるという。