(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年1月25日付)

果たしてロシアは、クリミア占領では飽き足らず本格的なウクライナ侵攻を考えているのだろうか(写真はウクライナの首都キエフ)

 先週末、今も英国政治をこよなく愛するダウニング街(首相公邸)の元高官と朝食を共にした。

 彼は筆者に、今後2、3週間でロシアがウクライナに侵攻すると思うかと聞いてきた。侵攻の可能性は明らかにあると思うと返した。

 友人は打ちひしがれたように見えた。「あぁ、なんてことだ」と叫び、「ボリスを救えるのは唯一、戦争くらいなものだ」と言った。

 この返答は、英国に現在漂う深い孤立感をとらえている。

 だが、英国が特殊なわけではない。実際、西欧の大国の大半は現在、不安定な政治的移行の真っただ中にある。

 このため各国は、ロシアとの対峙に普段以上に準備ができていない状態にある。

大国がそろって迎えた過渡期

 英国では、ボリス・ジョンソン首相の権力掌握が着実に弱まっている。英政界における主な議論は、首相に残された在任期間を週単位か月単位のどちらで数えた方がいいか、ということのようだ。

 フランスでは、エマニュエル・マクロン大統領があと3カ月足らずで次の大統領選に臨む。

 ドイツでは、オラフ・ショルツ首相が数週間前に就任したばかりで、力を試されたことがない連立政権を団結させようとしている。

 イタリアでは、選挙人団が1月24日に新大統領を選ぶ投票を始める。もし現首相のマリオ・ドラギ氏が大統領に選出されたら、イタリア政府を再構成しなければならず、そこで政府が倒れるかもしれない。