ロシア侵攻を喧伝して最も得をするのがウクライナのゼレンスキー大統領(1月14日撮影、写真:ロイター/アフロ)

プロローグ/ロシア軍のウクライナ侵攻報道

 昨今、日本のテレビはロシア軍が今にでもウクライナに侵攻するかのごとき報道を毎日流しています。

 日系各紙も同様です。

 テレビには識者や専門家と称する人たちが登場して、「ロシア軍がベラルーシ側から侵攻すれば、首都キエフはあっと言う間に占領されます」とか「ロシア軍が侵攻すれば、ウクライナ軍は半日ももたないでしょう」などと無責任な解説をしています。

 では、ロシア軍は本当にウクライナに侵攻して、首都キエフを占領するのでしょうか?

 結論から先に書きます。筆者は、ロシア軍のウクライナ侵攻はあり得ないと考えております。ロシア軍がウクライナに軍事侵攻する必要性も必然性も大義名分もありません。

 ロシア軍のウクライナ侵攻を煽っているのはむしろ米国と日本含む欧米マスコミであり、ロシア軍のウクライナ侵攻を望んでいるのはウクライナのO.ゼレンスキー大統領その人であると推測します。

 本稿ではウクライナ問題を巡る混乱の背景と本質、ウクライナ騒乱が近隣諸国にどのような影響を与えるのか、筆者の独断と偏見と想像を交えて仮説を展開したいと思います。

ウクライナ侵攻煽る日系マスコミと評論家

 日本の昼間の各局ワイドショーや夜の報道番組には、ウクライナ国境付近で軍事演習していると説明される、ロシア軍戦車の映像が毎日流れています。

 その際に流れる映像はロシア軍の戦車が戦車砲を撃っている場面で、毎日同じ映像です。

 日系各紙もテレビに負けじとばかり、ロシア軍によるウクライナ侵攻の可能性を大々的に報じています。

 例えば、英外務省は1月22日、「ロシアがウクライナに親ロシア政権樹立を画策している」と報じています。在ウクライナ米大使館が自国民にウクライナからの避難勧告を出したことも報じられています。

 このような映像や報道が毎日繰り返されると、≪今この瞬間にもロシア軍の戦車が露・ウクライナ国境を越えて、キエフに侵攻するのでは?≫との不安が拡がります。

 換言すれば、そのようなサブリミナル効果を狙って、毎日同じ映像・記事が報じられているのではないかと筆者は推測します。本件はのちほど考察したいと思います。