新型コロナウイルスに関する基本的対処方針分科会の尾身茂会長(2021年9月15日、写真:つのだよしお/アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

小池知事が苦言、波紋を広げた尾身氏の発言

 政府の新型コロナ対策を議論する基本的対処方針分科会の尾身茂会長が、1都12県へのまん延防止等重点措置の追加適用を決めた1月19日の会議終了後に語ったことが波紋を広げている。

 尾身氏は、「オミクロン株の特徴にふさわしいメリハリのついた対策を打つ必要がある。人流抑制ではなく人数制限がキーワードだ」「ステイホームは必要ない。渋谷駅前の交差点がいくら混んでいてもほとんど感染しない」「対策をとれば飲食店を閉める必要はない」などと語ったからだ。

 随分と乱暴な発言である。いま日本を席巻しているオミクロン株は、感染力はこれまでにない強さだ。政府の関係者が「1日10万人を超えることもあるかもしれない」と語っているという報道もあった。

“感染力が弱いから人流抑制は必要ない”というなら理解できる。普通に考えれば、感染力が強ければ人流抑制が有効だ、ということになるはずだ。