(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年1月22・23日付)

報道に対する信頼の揺らぎが米国の民主主義を特異なものにしている可能性がある

 2人の政治指導者を比べてみよう。

 ドナルド・トランプ氏の大統領時代の支持率はほとんど変動することがなく、何らかのスキャンダルが持ち上がっても、支持者らはことごとく「フェイクニュース」として一蹴した。

 だが、英国のボリス・ジョンソン氏がロックダウン(都市封鎖)の最中にパーティーのホスト役を兼務していたことが発覚すると、支持者はあっという間に逃げ出した。

 世論調査会社ユーガブによれば、ジョンソン氏に好感を抱く人の割合から抱かない人の割合を差し引いた純好感度は、2020年4月のプラス29%から1月半ばのマイナス52%へと暗転した。

西側世界で突出した米国の二極化

 米国の二極化の特異性はこの比較に凝縮される。

 二極化は世界的な問題として議論されることが多いが、実際には、西欧の民主主義国において、さらには南米の民主主義国においてさえ、対立する勢力は著しく固定化されているわけではなく、常に何事も真に受けているわけでもない。

 西側諸国における二極化は2016~18年にピークを迎えた。

 ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)が国民投票で支持され、トランプ氏やブラジルのジャイル・ボルソナロ氏が選挙で勝利し、スペイン・カタルーニャ地方の独立をめぐって暴力的な衝突があり、イタリアで反体制派政党「五つ星運動」と排外主義の「同盟」が連立政権に参加した。

 米国はいまだに危険なほど二極化されている。その点では西欧よりもトルコやインドに似ている。

 特に共和党支持者の間では往々にして、民族的、宗教的、イデオロギー的なアイデンティティーが完璧に合致している。