1月20日、記者会見する小池百合子東京都知事(写真:ZUMA Press/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 相変わらずの二枚舌だ。それとも、ネット上で騒がれているように“たぬき”の本領なのか。小池百合子東京都知事のことだ。

 新型コロナウイルのオミクロン株の感染急拡大で、21日から東京をはじめ13都県にまん延防止等重点措置が適用となった。これで米軍基地から感染が広がった沖縄、山口、広島とあわせて、全国の同措置の適用は16都県となり、さらに大阪をはじめとする関西3府県や北海道にも今後、適用される見通しだ。

「国と分科会で整合性を取ってほしい」

 この13都県の対象拡大を政府の新型コロナウイルス対策分科会が了承したのが19日。その終了直後の会見で分科会の尾身茂会長がこう発言したことが波紋を広げた。

「オミクロン株の特徴にあったメリハリのついた効果的な対策が重要だ。これまでの『人流抑制』ではなく、『人数制限』というのがキーワードになると考えている」

 さらには、こうまでぶちまけている。

「ステイホームは必要ない。渋谷駅前の交差点がいくら混んでいてもほとんど感染しない」

 この時には東京都の小池知事が「不要不急の外出は控えるように」と呼び掛けていたことから齟齬が生じた。

 大手メディアは「食い違い」を指摘し、どっちに従ったらいいのか、混乱する、と主張を展開してみせる。いかにも、お上の指示には従う、という日本人らしい発想で、そこに自己判断や自己責任の余地はない。