(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年1月18日付)

リトアニアを見殺しにしてはEUの名折れになりかねない(写真はリトアニアの首都ビリニュスにある教会)

 ヨーロッパ人は21世紀を諸外国に振り回されて過ごす運命にあるのだろうか。

 欧州連合(EU)が本部を構えるブリュッセルでは、関係者は、EUの集団的な力が旧大陸をこの屈辱的な運命から救う唯一の手段だと主張することを好む。

 米国や中国と肩を並べられる欧州国家は一つもないが、集団としてのEUは世界三大経済圏の一角を占めるというわけだ。

ウクライナ危機で脇へ追いやられた屈辱

 だが、EUの経済的な力を簡単に地政学的な力に転換できるという考えが今、真価を厳しく問われている。

 ウクライナ危機では、EUが脇へ追いやられた。一方、中国はEU加盟国である小国リトアニアに非公式の経済制裁を科し、EUは適切な対応を見つけるのに苦労している。

 向こう数週間から数カ月でEUにとってことがうまく運ばなければ、「地政学的な欧州」についての議論は次第に不条理に聞こえるようになる。

 しかし、現在の危機、特にリトアニアの難局が、国際的な舞台で自己の利益を守るEUの能力に飛躍的な前進をもたらす可能性もある。

 ウクライナをめぐる危機は、欧州大陸における戦争と平和の問題であり、このため一部のEU高官は最近開かれた一連の交渉にEUが直接参加しなかったことに屈辱を覚えている。

 だが、EUが脇へ追いやられたのは、それほど大きなサプライズではなかったはずだ。

 EUは軍事的な勢力ではなく、永遠にそうならないかもしれない。しかもウクライナはEU加盟国ではない。