韓国・ソウルの新型コロナワクチン接種会場(資料写真、2021年10月29日、写真:ロイター/アフロ)

(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

「ワクチンパス」(ワクチン接種証明書)をめぐって、韓国社会が荒れている。

 韓国でワクチンパスが導入されたのは、昨年(2021年)の12月13日である。これに伴い、飲食店に入るときには、スマホを使ってその提示が求められるようになった。

 パスの運用システムは韓国の最大ポータルサイトを運営するネイバー社や、SNS「カカオトーク」のカカオ社が提供している。私はカカオトークを愛用していて、画面を開いてスマートフォンを縦に振ると、ワクチンパスがすぐに表示される。そのなかのQRコードを、店舗に設置してある読取り機にかざして読み取らせると、「ワクチン接種済みです」というアナウンスが発せられる。至って便利だ。

 一方で、未接種者が2人以上いる場合には、飲食店の利用はできなくなった。とはいえ、これだけでは大きな支障にはならない。なぜならば、韓国ではワクチンの2回接種者が80%を超えているために、未接種者が2人以上で飲食店を利用するというケースはそう多くない。また未接種者が1人いたとしても、ヨーロッパとは異なり陰性証明書の提示が求められるわけではないからだ。