中国の女子テニスプレーヤー・彭帥選手(写真:ロイター/アフロ)

 北京冬季五輪・パラリンピックの開幕が刻一刻と近づいている。2月4日の開会式を前に中国国内は五輪モードで盛り上がりつつあるが、その一方で深刻な暗い影を落としている感も拭えない。

 米国や英国、カナダ、オーストラリアなどが北京五輪に政府高官を派遣しないことを決め「外交ボイコット」を表明。日本も政府代表団を派遣せず、参議院議員の東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長と日本五輪委員会の山下泰裕会長、日本パラリンピック委員会の森和之会長を北京五輪、パラリンピックにそれぞれ派遣する方針を固め、「外交ボイコット」という言葉は避けたものの、米国を筆頭とした決定に事実上同調する格好となっている。

 日本側は政府代表団の派遣見送りに関して明確な理由を明かさず、米国を気遣い、中国の顔色も伺いながら双方の気分を害さないように曖昧な言葉に終始した。対照的に米国をはじめとした他の西側諸国は新疆ウイグル自治区や香港、チベットなど中国国内で公然と強行されている人権弾圧を問題視し「外交ボイコット」を声高らかに世界へ向けてアピールしつつ拳を振り上げている。

西側の外交ボイコットは中国にとって想定内

 だが、その効果は残念なことにほとんど現れそうもない。「外交ボイコット」とは言っても表明した国々は北京五輪に選手代表団を派遣する。日本も無論同じだ。

 開催国の中国は米英など「外交ボイコット」の表明国に対し「スポーツと政治を結び付けている」と痛烈に非難しているが、ここまで強気な姿勢を崩さないのは何だかんだ言われながらも西側諸国の「五輪参加ボイコット」までには至らず想定内のダメージだけで済んだことも背景にある。