北朝鮮が1月11日に発射した極超音速ミサイルと思われる飛翔体の映像を見るソウル市民(1月12日、写真:AP/アフロ)

 北朝鮮が昨年(2021)9月(1回目)と今年1月5日(2回目)発射した「極超音速ミサイル」については、それぞれ1枚の写真を含めた北の発表内容と、日韓が確認した事実とは、大きく異なっているのが特色である。

 1月11日(3回目)発射のミサイルについては、韓国の発表では「マッハ10前後」という私の予想を超えるものであった。

 北が行う弾道ミサイル発射(以後、ミサイル)実験には、大きく分けて、外交交渉、ミサイル開発、その両方の3つの狙いがある。

 この3つは、明確に分けられないが、どれかに比重が置かれている。

 新たなミサイルの開発に重点を置いている場合には、開発初期、開発途上、開発完成の段階、または、開発の変革期であるかどうかを評価する必要がある。

 一方で、北朝鮮の発表には誇大宣伝(プロパガンダ)の場合があるし、韓国が発信する軍事情報には、政治的利益誘導の場合があるので、評価には十分な分析が必要だ。

 そこで、極超音速ミサイル実験という3回の実験について、分析してみたい。

 北は、極超音速ミサイルについて、2021年9月「誘導機動性を確認」、1月5日「120キロ側面移動」、1月11日「試射に連続成功」と発表した。

 このことについて、実際に確認できた情報に基づいて、実験したミサイルレベルの高・低、また日米韓が現在、対応が可能かどうかを評価するには無理があると考える。

 なぜなら、このミサイルは、まだ実験の途中であり、プロパガンダの可能性もあり、政治的に利用される恐れがあるからだ。

 私は、事実の確認を積み上げ、これが「新たなミサイル開発途上期」、もしくは「ミサイル開発の変革期(ミサイル体系の変革)」であると考えた。

 すなわち開発段階についての分析をすべきであると考えたのだ。このために、

①昨年9月の実験について

②今年1月5日の実験について

③過去2回の実験のまとめ

④今年1月11日の実験について

⑤中距離ミサイルにおける今後の開発の方向性、について考察する。