大統領選が延期されたことに抗議するリビアの人々(2021年12月24日、写真:ロイター/アフロ)

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米WTI原油先物価格は1バレル=80ドル台前半と2カ月ぶりの高値となっている。

 1月4日、OPECとロシアなどの大産油国で構成されるOPECプラスは、2月も現行の日量40万バレルの増産ペースを維持することを決定した。増産ペースを維持したのは、今年(2022年)第1四半期の大幅余剰への懸念が後退したと判断したからだ。

 昨年12月時点のOPECプラスは「1月が日量200万バレル、2月は300万バレルの供給過剰になる」と予測していたが、今年に入り「1月は日量80万バレル、2月は130万バレルの供給過剰になる」と見通しを変更した(1月5日付ロイター)。見通しが改善したのは「新型コロナの変異型(オミクロン型)が原油需要に与える影響は軽微だ」と見込んだことが主な理由だ。オミクロン型は感染力は強いが、重症化リスクが低いことから、航空機燃料への影響は若干あるものの、ロックダウンなどで生じる深刻な悪影響が出る可能性は小さいというわけだ。

投資不足が招く深刻な供給不足

 OPECプラスの決定を受けて市場では「新型コロナの感染拡大にもかかわらず、原油需要は底堅い」との認識が広がった。国際エネルギー機関(IEA)も「今年の原油需要は前年比333万バレル増の日量9953万バレルとなり、過去最高を更新する」と予測している。