米空母「エイブラハム・リンカーン」に着艦する海兵隊の「F-35C」戦闘機(1月5日、米海兵隊のサイトより)

「レゾリュート・ドラゴン21」演習

 2021年12月、陸上自衛隊と米海兵隊による過去最大規模の二国間実動訓練「レゾリュート・ドラゴン21」演習が行われた。

 陸上自衛隊と米海兵隊との訓練であるが、日本側は航空自衛隊、米国側は米陸軍、米海軍、米空軍および米宇宙軍の部隊がそれぞれ支援部隊として参加した「統合・共同訓練」であった。

 その狙いは、中国の侵略的行動を睨んで、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化することである。

 そのため、陸上自衛隊および米海兵隊の部隊を中心に、日米両軍が共同して作戦を実施する場合における相互連携要領を実行動により訓練し、日米の連携強化および共同対処能力を向上することにあった。

 特に今回の訓練は、陸上(海上・航空)自衛隊の新たな作戦構想である「領域横断作戦(クロスドメイン作戦:CDO)」と米軍のそれである「マルチドメイン作戦(MDO)」に寄与する米海兵隊の「機動展開(または遠征)前進基地作戦(EABO)」を融合一体化させ、相互の戦術、技術、手順などの連携向上を行うことを主眼とした。

 まさに、日米の新たな作戦構想に基づく挑戦的・実戦的訓練であり、その意味で日米共同訓練は、日々進化を遂げている。

 訓練は、4000人超の隊員・兵士が参加して2021年12月4日に開始され、12月17日までの2週間の長期に及んだ。

 部隊の実行動を伴う訓練は、北海道から東北地方の複数の演習場が使われたが、訓練は南北約3000キロにわたる日本列島全域での作戦を想定して行われ、米宇宙軍は米本土から参加した。

 陸上自衛隊の主要参加部隊は、東北方面隊の第9師団第5普通科連隊を基幹に、地対艦ミサイルを装備する東北方面特科隊や攻撃ヘリ(AH)を装備する東北方面航空隊であり、それに加えオスプレイ(MV-22)なども参加した。

 米側の主要参加部隊は、沖縄に駐留する第3海兵師団第4海兵連隊第2-8大隊基幹を基幹に、第1海兵航空団第36海兵航空群などである。

 なお、陸上自衛隊では、南西地方有事の場合、まず、九州沖縄の防衛警備を担任する西部方面隊が中心となって防衛作戦を行うが、必要に応じ、それを補完強化するため、全国から部隊が急派・増援される計画になっている。

 そのため、全国の部隊が南西地方有事に備えた訓練を行っており、今回は、東北方面隊の部隊が参加する番となった。