世界中で感染が再拡大している新型コロナ。感染力を増したオミクロン株の影響だ(写真:AP/アフロ)

(沖 有人:スタイルアクト代表取締役)

 敵もさるものである。新型コロナウイルスは、感染力を格段にアップさせたオミクロン株として再び戻ってきた。昨年12月25日の記事「第6波に突入した新型コロナ、戦々恐々の年末年始で起きること」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68230)で、当面1カ月について、以下のように予測した。

・新規感染者数は急増するが、現時点の絶対数が少ないので、1日1000人程度にとどまる
・ワクチン接種の効果でそれ以前の1/1000に死亡者数を抑えられる
・第6波で新規感染者数が増えても、死亡者数は1日1人程度にとどまる

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◎「第6波に突入した新型コロナ、戦々恐々の年末年始で起きること」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68230)

 この予測はデルタ株を前提としたモデルで算出したものだが、第6波のオミクロン株は第5波のデルタ株の延長線上に考えることはできない。新規感染者数だけを取れば、第5波を大きく上回る可能性もある。

 いずれにせよ、今回の第6波を受けて、緊急事態宣言の発出や、私たちの感染対策については視点を変える必要があるだろう。

 まず、オミクロン株の特徴を見てみよう。先行事例である英国を例に分析をすると、以下のようになる。

・感染力はデルタ株の2.6倍と強い
・死亡率は0.35倍と弱い
・上記2つの掛け算では0.91倍とやや弱体化している

 ウイルスの側に立って考えると、全世界でワクチンの接種率が高まった中で生き残るには、感染力を上げ、毒性を弱めることは合理的な選択だ。その意味では、ウイルスの最終形に近いのかもしれない。ただ、ウイルス研究はそれほど明確な解答を用意していない。分からないことが多過ぎるのだ。

 上記の分析はウイルスが進化する過程や理由を度外視し、結果論としての数字から要点だけ拾ったものだ。ただ、時間的猶予がない今、「拙速は巧遅より勝る」と考え、対処法を決めていくしかない。