2021年12月末からロックダウンが続く中国・西安市(2021年1月1日、写真:新華社/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 中国陝西省の省都、西安市の新型コロナ感染状況がかなり深刻なようだ。2022年1月2日、3日と連続して90人以上の新規感染者が出ており、累計1700人程度となった。陽性者数の数字でいえば、欧米諸国の状況と比較して微々たるものだ。だが、恐ろしいのはウイルスではなく、「社会面清零」と呼ばれる「ゼロコロナ政策」だろう。

 1月1日に行われた西安市のコロナ感染防止コントロール指揮部のビデオ会議で、1月4日までに西安市の新規コロナ感染者をゼロに抑えるゼロコロナ政策目標が打ち出された。2日には陝西省の書記、劉国中が、社会面清零(ゼロコロナ)目標をできるだけ早く実現せよ、と通達していた。

 だが1月2日、陝西省で新たに92人の新型コロナ感染者が出ている。うち90人が西安市の住人だ。3日には西安市だけで95人の感染者が出た。西安市では12月23日に都市封鎖(ロックダウン)が始まり、8日ぶりに新規感染者が100人を切ったという意味では徐々に落ち着いてきているわけだが、それでも1月4日までに新規感染者をゼロにするなど、非科学的・非現実的な通達ではないか。

僻地の隔離施設に送られる住民たち

 だが、インターネット上に流れた西安市の「強制隔離」風景の動画を見たとき、多くの市民たちは気づくことになった。「ゼロコロナ」とはコロナウイルスを徹底排除せよ、ということではなく、コロナ感染者を社会から徹底排除し、「ゼロ」とすることだったのだ。実際、感染拡大の可能性のある「小区」(集合住宅の集まる住宅区、団地)の住民が、数万人単位で「社会」と隔絶された僻地の「収容施設」に収容されていた。