笑顔がいい感じの金与正氏(提供:South Korean Ministry of Unification/Lee Jae-Won/アフロ)

(金 興光:NK知識人連帯代表、脱北者)

 本日は、北朝鮮がひた隠しにしている極秘情報をお伝えしよう。ベールに包まれた、朝鮮労働党第8期4次政治局会議に関する話だ。

 金正恩体制の北朝鮮における特徴の一つとして、時をわきまえず、労働党の重要会議を開く点が挙げられる。その際に、会議を開催するたびに、会議の内容を官営メディアである朝鮮中央テレビなどに、政治的な功績として自慢をするのが常であった

 ところが、例外が発生した。それが、朝鮮労働党第8期4次政治局会議だ。

 政治局会議は、規模こそそれほど大きくないが、今後の労働党の方向性を決める重要な会議だ。本来であれば、金正恩総書記が内容を公表してもおかしくない。それなのに、秘密のベールに包まれているのはなぜか。今回、筆者が代表を務める脱北者の団体、NK知識人連帯は北朝鮮の内部協力者などを通じて、4次政治局会議の内容を入手した。その内容を公開しよう。

 以下は、北朝鮮労働党の機関紙である労働新聞に掲載された、金正恩総書記の動向だ。ここには、「9月3日、労働党政治局の3次政治局会議を開いた」「12月2日、5次政治局会議を開いた」と書かれている。数字を数えれば簡単に分かるが、4次政治局会議が抜けている。

労働新聞に掲載された金正恩総書記の動向。確かに、4次政治局会議が抜けている

 この事実は、「5次政治局会議が開催された」という報道を受けたNK知識人連帯が、「4次政治局会議はいつ開催されたのか」と掘り下げたことによって分かったことだ。

 我々が入手した労働党4次政治局会議の詳細は以下である。

【日時】:2021年10月31日
【場所】:中央党 本部党 庁舎
【出席者】:政治局委員会委員
【案件】: 党の総路線である三大革命をより一層高めるための党中央の決定と課題、組織問題について
【司会】:金正恩総書記は不参加、代わりに妹の金与正氏が司会

 結論から言えば、4次政治局会議は金正恩総書記の代わりに金与正氏が主宰し、彼女が提唱した「三大革命小組」を全国に派遣するという重要な決定を下した。三大革命小組員とは、故金正日氏が党権力を掌握する際に、全国のすべての地域、部門ごとに派遣した特別身分の“スパイ”のことである。

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