北京のオリンピック村商業プラザに機材を届ける作業員たち(2021年12月24日、写真:AP/アフロ)

(藤原 修平:在韓ジャーナリスト)

 韓国は“真実”が見えていない。まるで「裸の王様」だ!──そう思う日本人も多いのではなかろうか。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は豪州訪問中の12月13日に、北京オリンピックに政府関係者を派遣しない外交ボイコットについて「韓国政府は検討していない」と表明した。中国の人権問題を批判するかたちでボイコットを宣言した米英豪とは明確に距離を置いた。

 韓国は、中国との経済的な関係に悪影響を及ぼすことを懸念したというわけだ。韓国にとって中国は輸出入ともに2位のアメリカをはるかに凌ぐ、最大の貿易相手国である。さらに、文大統領は就任以来「朝鮮戦争の終戦宣言」を目指しているが、裏で中国に指示されているとの韓国政府高官の発言もある。現在の韓国政府にとって、中国は命綱ともいえる存在なのだ。

中国への忖度を隠さない韓国

 このように韓国が歩み寄ってくるタイミングを、中国が見逃すはずがない。東京電力が12月21日に福島第一原発の処理水海洋放出計画を原子力規制委員会に申請すると、中国の趙立堅副報道局長はその翌日の記者会見で「重大な懸念」を表明した。