(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年12月17日付)

2021年1月6日は米国の民主主義を根底から揺るがす大事件が起きた(写真は議事堂に乱入するトランプ支持者、1月6日撮影、写真:ロイター/アフロ)

 米民主党にとっては思い出したくないことだが、米国の民主主義を救ったのはマイク・ペンス前副大統領だ。

 ドナルド・トランプ前大統領への卑屈な忠誠を、肝心な瞬間まで貫いた人物だ。

 米国にとってはありがたいことに、ペンス氏は今年1月6日、トランプ氏からの攻撃と、大統領選挙の結果を覆そうと連邦議会議事堂に押し入って内部を荒らし回った暴徒との挟み撃ちに抵抗した。

「愛国者として歴史に名を残すことができる・・・あるいは臆病者として名を残すこともできる」

 トランプ氏はそう言ってペンス氏に警告した。

 ペンス氏は前者を選び、選挙人団の投票結果の認定を支持した。ペンス氏がいなかったら、ジョー・バイデン氏は今、大統領ではなかったかもしれない。

権力乱用の処罰では他国が上

 このような強靭さを米国のシステム全体のおかげだと見なすのは誤りだ。

 ほかの民主主義国、例えば韓国、ペルー、リトアニア、パラグアイ、ブラジルなどは今世紀に入ってから大統領を罷免しており、収監したところもある。

 フランスのニコラ・サルコジ元大統領は今年9月、選挙資金関連の法令違反により禁錮1年の実刑判決を受けた(電子ブレスレットを装着して自宅で刑に服す)。

 トランプ氏のそれに比べれば、ほとんどの大統領経験者の罪は軽微だ。